平成29年度科学技術週間 “なぜ?から始まるわくわくがステキな未来をつくるんだ!”
理化学研究所 和光地区 一般公開 2017
4/22土 9時30分~16時30分(最終入場は16時まで) 入場無料
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SCIENCE LECTURE│サイエンスレクチャー

会場:中央地区 レーザー研究棟 C32 (大河内記念ホール)
  •  免疫は、病原体などの外敵から、私達の身体を守るシステムです。この防御のシステムが上手く働かないと、様々な病気―感染症やリウマチなどの自己免疫病―になってしまいます。免疫応答は、まず、病原体などの「抗原」を取り込んだ樹状細胞がリンパ節にやってきて、身体を巡回しているTリンパ球と出会い、お互いに接することによって、抗原をTリンパ球が認識することによって始まります。この時、樹状細胞とTリンパ球との間には「免疫シナプス」が創られて、Tリンパ球を奮い立たせ(活性化)ます。活性化されたTリンパ球は、外敵と戦うミクロ戦士として成長(分化)し、戦士を増やし(増殖)、外敵と戦って身体を守ります。このTリンパ球と樹状細胞の一対一の出会いによって始まる免疫応答が、どのようにリンパ球を奮い立たせ、戦士を創ってゆくのか、その巧妙なダイナミックな仕組みを紐解きます。


  •  理化学研究所は1917年(大正6年)、「学問の力によって産業の発展を図り、国運の発展を期する使命を果たさんとする目的」で設立され、今年で創立百周年を迎えました。今日までの百年間、株式会社、特殊法人、独立行政法人、国立研究開発法人へと変遷しつつも、我が国唯一の自然科学の総合研究所として、物理学、化学、工学、生物学、医科学、計算科学などの幅広い分野で先導的な研究を進めています。
     今回は、姿形を変えながらも今日まで存続してきた理研百年間の歩み−創立時の背景・目的、創立以来の研究成果とその実用化、現在の活動状況など−をご紹介したいと思います。ただ、百年分を丁寧に紹介するとなると何百頁や何時間も必要です。この度日本郵便から理研創立百周年を記念した切手が発行(4月26日)されることになりましたので、その切手図柄をもとに百年を大胆に切り取ってご紹介します。

    「理研ヴィタミン」1924年
  •  強い磁場に置かれた分子が示す特徴的な振る舞いを測定し、得られたデータから物質の構造を詳しく観察する「核磁気共鳴装置(NMR)」は、生命科学や材料科学に欠かせない分析装置の一つです。分子にかける磁場が強いほど物質の特性や構造をより詳しく知ることができるので、強力な磁石を搭載した高磁場NMR装置の開発に世界各国が取り組んでいます。これまでの最高磁場は、ドイツ製の低温超伝導磁石による1000 MHz(23.5テスラ=23万5000ガウス)でした。これ以上の磁場を発生させるにはセラミックス系の高温超伝導ワイヤを利用した高温超伝導磁石の搭載が唯一の解決策であることがわかっていましたが、様々な技術的な課題が壁となり、実現していませんでした。
     2014年、物質・材料研究機構、株式会社神戸製鋼所、日本電子株式会社、理化学研究所が共同で、セラミックス系高温超伝導磁石の技術的課題を克服し、1020MHz(24.0テスラ)NMR装置の開発に成功しました。本講演では、世界最高磁場にいたる研究開発のエピソードを紹介し、高温超伝導技術が私たちの暮らしに与えるインパクトについてお話しします。

  •  日本は、世界に先駆け超少子高齢化社会を迎えます。健康な状態を保持または増進することで疾患の発症を予防する、つまり、慢性的に疲れている状態や病気になる前の状態(未病状態)を回避、克服することで、医療費の高騰を抑え、国民の皆さんが生き活きとした生活を送ること、これが望まれています。私たち理研は、あらゆる健康計測解析技術を駆使しこの課題に立ち向かい、子供から高齢者までと、あらゆる世代の個々人の健康を最大化するための研究「健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム」を開始しました。

    理化学研究所 健康生き活き羅針盤リサーチコンプレックス推進プログラム(https://rc.riken.jp/
  •  私たちの研究室では、“光を使って生体の中をイメージングする技術”を開発しています。光はX線などの放射線と違ってとてもエネルギーが低いため、光を使った生体イメージングは体に優しい可視化技術です。私たちは、可視光(青から赤までの光)よりもさらにエネルギーの低い“近赤外光と呼ばれる光”を利用した生体イメージング技術を開発しています。体には血液や様々な内在性の色素(メラニンなど)が存在するため、可視光は体の中をほとんど透過しません(透明人間にならない)。しかし赤い色よりさらに波長の長い近赤外光(光の波長で700nmから1400nmあたりまで)になると体の中に吸収するものが少なくなるのでかなり体を透過するようになります。この光の波長領域は“生体の光学窓”と呼ばれています。本講演では、近赤外の光を使って体の中のどんなものが見えるのか、X線やMRIなどのこれまでのイメージング技術との違い、優れている点、また将来の医療分野での応用として、早期乳がんなどの光診断の可能性についてお話します。

  •  私たちの身体、着ている服や家、草花や木々、鳥や犬などの動物、そして私たちが住んでいる地球、呼吸に必要な空気、暖かな日差しをくれる太陽。私たちが住んでいる地球上に存在するすべての生きとし生けるものが、また、私たちの暮らしを支えているあらゆるものが、すべて元素から成り立っています。生命の素となる元素はどこで生まれ、私たちにたどり着くまでどのような旅をしてきたのでしょうか?
     宇宙開闢(かいびゃく)の元素誕生の歴史、宇宙で生まれた多様な元素をとりこんで進化した地球上の生命、それら地球上の生命が太陽や月といった宇宙のリズムを生命活動に取りこんで命を刻んでいることを知り、私たちと宇宙とのつながりについて一緒に考えます。