平成30年度科学技術週間行事平成30年度科学技術週間行事 理化学研究所 和光地区 一般公開 2018
4/21土 9時30分~16時30分(最終入場は16時まで) 入場無料
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LECTURE MEETING │
特別講演会

会場:南地区 生物科学研究棟 S01 (鈴木梅太郎記念ホール)
  • 記憶と空間認識をつかさどる
    「海馬」に迫る

     私たちの脳はすぐれた空間認識能力を持っています。たとえば、自分の街の地図を書いたり、自分や友人がいまその地図のどこにいるのかを指し示したりできます。このような空間認識能力は、脳の海馬という部位がその役割を担っていると考えられています。海馬には、自分がいま空間上のどの位置に存在しているかを認識する「場所細胞」と呼ばれる神経細胞があり、この場所細胞が空間記憶やエピソード記憶などに関係していることが近年の研究により明らかにされてきました。本講演では、この場所細胞の話を中心に、脳の中で場所の情報が認識される仕組みを最新の研究成果を交えて解説します。


    ラットの大脳皮質・海馬の神経細胞群の活動を微小電極を使って読み出します
  • 量子コンピュータって何?

     近年、従来型コンピュータでは難しい計算を可能にする「量子コンピュータ」が注目されています。アイ·ビー·エム、インテル、マイクロソフトといった情報産業、電子産業に加えて、最近ではベンチャーキャピタルが本格的な技術開発に乗り出し、一部では試験的な計算のサービスも始まっています。
     通常のコンピュータが0と1という2値を情報の単位として計算するのに対して、量子コンピュータは、光、原子、超伝導、電子といった基本粒子のもつ量子としての性質、重ね合わせと量子もつれ、を利用して計算を行います。現在では、それぞれの粒子の特徴を活かして、量子コンピュータ、量子シミュレータなど、仕様に適した技術開発が進められています。これらはいずれも、まだ初期段階のレベルですが、複雑な量子現象の解明、新物質の性質の予測、分子化学計算、創薬開発といった、複雑な計算が必要な問題に対処できるコンピュータとして、その将来性に大きい期待がかけられています。本講演では、量子コンピュータの原理と特徴について研究の最前線を含めて紹介します。


    量子(スピン(左)、超伝導回路(中央)、原子(右))を情報の単位とする量子コンピュータ、シミュレータの基本構成のイメージ
  • 巨大星の爆発と中性子星・ブラックホール
    ~宇宙の真理は数式で書けるの?~

     宇宙には巨大な星が存在します。巨大な星は大爆発します。これを超新星爆発と呼びます。巨大な星では様々な元素が作られます。地球や生命の誕生に不可欠な元素もここで作られます。従って私たちは巨大星と、その超新星爆発から産まれた存在と言って過言ではありません。また巨大な星が大爆発する時、その中心には中性子星が産まれます。この中性子星が連星を組むと、重力波を放出しながら最後には合体して大爆発します。重力波をはじめとする最近の宇宙研究の進展によって、金、銀、プラチナ、ウランなどの起源は、この中性子星の合体ではないかということが分かってきました。更に巨大な星が大爆発する時、中心にブラックホールが産まれることもあります。このブラックホールもまた、最近の重力波研究の進展により、その存在の確かな証拠が得られました。ブラックホールは光ですら逃げることの出来ない宇宙の穴ですが、もしかするとそれは隣の宇宙と繋がる入口かもしれません。人類は宇宙をどこまで理解出来るのでしょうか。宇宙の真理は数式で書き尽くすことが出来るのでしょうか。本講演では、以上のテーマについての最新の理解を平易に解説したく思います。


    自身の重さで潰れた星の中心部に高速回転するブラックホールが形成され、電磁場を介してブラックホールからジェットが噴出している現象を捉えた数値シミュレーションの例