平成29年度科学技術週間 “なぜ?から始まるわくわくがステキな未来をつくるんだ!”
理化学研究所 和光地区 一般公開 2017
4/22土 9時30分~16時30分(最終入場は16時まで) 入場無料
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LECTURE MEETING │特別講演会

会場:南地区 生物科学研究棟 S01 (鈴木梅太郎記念ホール)
  •  理研では、インフラ構造物の非破壊検査にも利用できる小型中性子源システムRANS(ランズ)を開発しています。理研小型中性子源システムRANSを用いて、コンクリート内の空隙(くうげき)および水に対する反射中性子(後方散乱中性子)を利用する非破壊検査法を昨年度開発しました。中性子源と検出器で挟み込めない道路橋の床版や空港の滑走路、トンネル壁の非破壊検査に適用できます。実証実験では厚さ方向に中性子を入射し内部構造を計測し、その結果最大で30cm奥にある水に見立てたアクリルブロックや空洞の位置を二次元分布で特定しインフラ構造物の非破壊検査法として適用できることを実証しました。また、据置型タイプはものづくり現場での利用を目的に、金属材料の組織解析、たとえば高張力鋼板等の高度化開発に貢献する、中性子線回折法により、集合組織変化、オーステナイト相分率評価に成功しました。
     本講演では、インフラ構造物を現場で観察可能な「可搬型加速器中性子源」の開発も含めて、紹介します。


    非破壊検査システムのイメージ
  •  2016年11月28日、国際純正・応用化学連合(IUPAC)は、理研の森田グループが発見した113番元素の元素名をニホニウム(元素記号Nh)に決定しました。元素の周期表に、待望のアジア初、日本発の新元素が誕生しました。IUPACは、ニホニウムと同時にロシアとアメリカの共同研究グループが発見した115番元素モスコビウム(Mc)、117番元素テネシン(Ts)、118番元素オガネソン(Og)の3元素も決定し、これによって周期表の第7周期までが完成するという元素発見史上最大級の成果となりました。本講演では、ニホニウムの探索開始から命名まで、13年間にも及んだ森田グループの新元素探索プロジェクトについて解説します。118番までの元素発見の歴史を紐解きながら、周期表と核図表、人工元素のつくり方、新元素の性質などについても解説します。


    元素周期表(一部)
  •  図形の性質を調べる幾何学は、ユークリッド原論に代表されるようにギリシャの時代に遡る最も歴史の長い学問ですが、その中でも連続変形に対して不変な性質を調べるトポロジー(位相幾何学)という分野が近年大きく発展しています。特に、量子力学の建設以来、理論物理学においてトポロジーの概念がますます重要となっています。このような背景下、2016年度のノーベル賞がトポロジーと物性物理学に関連した業績に対して与えられました。本講演では、量子ホール効果、量子ポンプ、量子スピン系、トポロジカル絶縁体、トポロジカル超伝導体など近年の物性物理学の最先端の話題を紹介し、さらにその応用への可能性についてお話しします。抽象的な数学がどのように物質の新しい状態とそこで現れる新しい粒子を記述し、驚くべき予言を導くかを平易に説明します。


    トポロジーの異なる2つの図形。3次元中の閉曲面は、「穴」の数によって分類される。量子力学では、ヒルベルト空間という抽象的な空間における「図形」を考えることで同様の分類学が、物質の性質を決定する。